気・血・水──生命の三大物質
- 気(き)
目に見えない生命エネルギーで、活動を推し進め、体温を保ち、防御や代謝を促進する重要な役割を担います。 - 血(けつ)
栄養を運ぶ赤い液体として、身体と精神に潤いと活力を与えます。陰の性質とされ、西洋医学でいう血液とはやや広い概念です。 - 水(すい)/津液(しんえき)
血以外のすべての体液—涙や唾液、汗、尿などを含む—を指します。体を潤し、熱を調整する働きがあります。
これらは互いに支え合いながらバランスを保ち、不足や停滞は不調につながります(例:気虚、気滞、瘀血、水毒など)。
陰陽五行──自然と人体を結ぶ哲学
- 陰陽論
万物の現象は「陰」(静・寒など)と「陽」(動・熱など)の調和によって成り立つという考え方。漢方では体調や症状をこの視点で診ます。 - 五行説
自然界の五つの元素「木・火・土・金・水」が相互に生成・抑制し合い、バランスを保つという理論です。人体では五臓(肝・心・脾・肺・腎)に対応させられます。例: 五行 五臓 主な働き・症状の傾向 木 肝 気の巡り調整、自律神経や情緒に関与。不調では怒りやすくなる。 火 心 熱を司り、血の巡りや精神活動を統括。過剰な喜びは不眠や動悸を招くことも。 土 脾 消化吸収を通じて気血水を生成。不調では皮膚や筋肉が弱り、食欲低下も。 金 肺 呼吸・水分代謝・免疫に関与。表面からの調整役。 水 腎 成長・発育・生殖・水代謝に関わる生命の根元。不調で冷えや耳鳴りなどが出やすい。
さらに、五行間には「相生」(補い合う)と「相克」(抑え合う)の原理があり、体内でのバランスを分析する鍵となります。
五行 | 五臓 | 主な働き・症状の傾向 |
---|---|---|
木 | 肝 | 気の巡り調整、自律神経や情緒に関与。不調では怒りやすくなる。 |
火 | 心 | 熱を司り、血の巡りや精神活動を統括。過剰な喜びは不眠や動悸を招くことも。 |
土 | 脾 | 消化吸収を通じて気血水を生成。不調では皮膚や筋肉が弱り、食欲低下も。 |
金 | 肺 | 呼吸・水分代謝・免疫に関与。表面からの調整役。 |
水 | 腎 | 成長・発育・生殖・水代謝に関わる生命の根元。不調で冷えや耳鳴りなどが出やすい。 |
気血水 × 陰陽五行──相互に支え合う関係
「気血水」は体の構成要素。その機能は「陰陽五行」の下、五臓によってコントロールされます。たとえば、「気・血・水のバランスの崩れ」は病の原因とされます。
このように漢方では、自然哲学(陰陽・五行)と人体の物質的要素(気血水)を融合させて、体全体の調和と病理を読み解くのが特徴です。
まとめ
- 「気・血・水」は生命の潤いとエネルギーの源泉。
- 「陰陽」は健康のバランスを、「五行」は臓器や季節とのつながりを示す概念。
- この二つを組み合わせ、体質や症状を多角的に理解するのが漢方の特徴です。
参考